2026.02.062026.02.06

部下が何度言っても同じミスを繰り返す、指示を理解しない、仕事が遅い…仕事ができない部下の後始末のせいで自分の仕事ができない。
そんな部下には辞めてもらいたいけど自分には辞めさせる権限はないからどうすればいいのかわからないという方に、本記事では仕事ができない人に辞めてほしい場合の対処法をお伝えします。
前提として、「仕事ができない(=能力不足)」ことを理由に、解雇(=クビ)することは法的にみてハードルが高いです。
また、そうでなくても、読者の中には人事の部署でも社長でもないため、「クビにする権限なんてない」という方も多いでしょう。
そんな場合にできる対処は大きくわけて以下の2つです。
自分と相手の1対1で改善に向けて動く
会社の協力を得ながら、手続きに沿って退職に導く
(1.)は3章、(2.)は4章で解説しているので、「やること」をすぐ知りたいという方はそこからチェックしてください。
能力不足の人に対しては、単に「仕事が遅い・ミスが多い」などの表面的な問題ではなく、その「ベースにある問題」に目を向けることが大切です。
この「ベースにある問題」を知っておくことで、その人へのベストな対処も変わってきます。
改善に向けた効果的な指導の言葉もその人その人によって変わります。
そのため、まずは読者の周囲にいる「仕事のできない人」が以下のどのタイプに近いのかチェックしてみてください。
1つ目は、認知能力・情報処理のスピードが遅いタイプ。
具体的には、
指示の意図を正確に読み取れない
優先順位をつけられない
一度に複数の情報を処理できない
このような問題を抱えています。
このタイプには、上司としても、より具体的に指示を出す、作業手順をマニュアル化するなどの工夫が必要となります。
その場その場での臨機応変な対応が求められる業務指示や、マルチタスクを求めないことがカギとなります。
指導しても同じミスを何度も繰り返すタイプです。
このタイプには、指導した際に「メモをちゃんととっているか?」などの確認や、同じような業務指示をする際に前回ミスした点について注意を向けてあげてみると良いかもしれません。
精神的に自信がないことで業務の「不出来」に繋がっているタイプです。
このタイプの場合、本来の能力は決して低くないのに、萎縮して低パフォーマンスになってしまっている可能性があります。
このタイプには、上司は普段の指示・指導が高圧的になっていないか、怖がらせる、焦らせる言い方になっていないか再確認しましょう。
また、ミスなく業務を終えた際に褒めることで自信をつけさせることも意識してみてください。
このように上司が接し方を変えてみることで、少しずつ仕事のパフォーマンスが改善される可能性があります。
業務がその人の適性に合っていないことが原因の可能性もあります。
たとえば、コミュニケーション能力が低いにもかかわらず、営業職についている、計算ミスが多い、会計ソフトが使えないにもかかわらず、経理職についているというようなケースがあるでしょう。
向いていない仕事を割り当てられているわけですから、「仕事ができない」のも仕方がない部分があります。
このタイプには、面談を行い、本人の適性を把握するとともに希望する職種を本人に確認し、可能であれば希望先の職種に異動させてみましょう。
最後に、身体やメンタルの不調が仕事に影響を及ぼしている、あるいはプライベートな問題で仕事が手につかないタイプです。
身体やメンタル面の不調が原因で仕事を長期にわたり欠勤する場合には、就業規則に休職規定があれば、休職を促してみるのも一つの方法です。
身体やメンタル面の不調が、長期的に休むほどではないが、仕事に影響を及ぼしている、プライベートな問題で仕事が手についていない場合には、有給休暇制度の利用を提案してみてはいかがでしょうか。
自分の業務指示や情報の伝達・共有に問題がないか見直す
具体的には
口頭だけでなく、チャットなどで改めて伝える・記録する
指示が抽象的じゃないか(もっと具体的に指示できないか)
マルチタスクをさせる時は、優先順位まで伝えられているか
です。
上で述べたように仕事ができない人は、業務指示を忘れる、自分で判断できない、優先順位をつけられないという特徴があります。
そこで、あとで指示が見返せるようにメールやチャットなどで伝えることは有効です。
また、指示内容を具体的にすることで、とりかかるべき仕事内容が明確になるため、何をすればいいのかわからないと考えていたずらに時間をかけることを減らすことができます。
その上で、優先順位をこちらがつけることで、効率よく作業を行わせることができます。
会社にも注意・指導を協力してもらいたい、あるいは会社から退職を促してほしい、さらには読者の方がしっかり指導していたことを会社にアピールするためにも、客観的な記録・証拠は不可欠です。
そのためにも、上で述べたように
ミスが発覚したら必ず注意する
面談を行い、本人の適性を把握する
注意の指摘や業務指示、指導の内容はメールやチャットなど残る形で伝える
など、客観的な記録を残しておくことが重要です。
ミスの指摘、ミスに対する指導を行い、業務指示の内容も改めたが、いまだ仕事ができない場合には、仕事ができない原因と改善策を本人と話し合ってみましょう。
仕事ができない人の根本的な原因は2章で述べたとおり、いくつかのタイプがあります。
改善策をまとめて伝えると、仕事ができない原因に対してどのように改善すればいいのか、わからないままになってしまう可能性があります。
そのため、具体的な原因1つに対して具体的な改善策を提案することで本人が理解しやすくなります。
原因と改善策を話し合うときは、感情的にならず建設的に進めましょう。
退職勧奨とは、仕事ができない人が自主的に会社を辞める(退職する)ように促すことです。
相手と話してみた結果、改善できる余地がないと考えられる場合は、退職勧奨をしてみるのも1つの手です。
ただし、退職勧奨は本来、会社が主導して行うものです。
人事権のない上司や同僚個人が「辞めたらどうか」という旨を伝えるのはパワハラとなるリスクがあります。
そのため、退職を促す際は、控えめに、「この環境があってないなら辞めるのも1つの手だ」程度に留めてください。
仕事ができない人がいることを、その人が在席する部署の上長や人事部の社員は知らないかもしれません。
そこで、まずは仕事ができない人がいるということを認識してもらうためにも、「こういう社員がいて困っている」、「どう対応すればいいか」と相談ベースで話してみましょう。
人事や部署の上長と協議のうえ、正式に会社として「改善指導(教育指導)」に入ってもらうことで、仕事ができないことが改善されない場合に会社からの退職勧奨や解雇につながります。
会社で指導記録シートや教育記録フォームが用意されていれば、それに則って指導等を行い、指導内容、指導の結果(指導しても改善されない等)を記録します。
会社として「改善指導」を行う際は
具体的な目標・改善すべき行動を明示する(例:期限を守る、誤字脱字をなくす等)
達成期限を設定する(目安としては1~3か月です)
指導後に、同じような勤務態度(ミスを繰り返す、納期を守れない)なのか記録を残しながら経過観察
必要であれば達成期限内に再度面談を行い、進捗状況の確認を行う
達成期限後に目標等が達成できていなければ、再指導を行う
このプロセスがあることで、後に退職勧奨・解雇の際に「正当なステップ」を踏んでいるとして解雇等が無効と判断される可能性を低くすることができます。
会社として「改善指導」を行ったけど、成果が見られない場合、部署の上長や人事部にその旨の報告を行い、いまの部署には適性がないことを伝えて、他部署への配置転換を検討してもらいましょう。
配置転換を行ったことも、後に退職勧奨・解雇の際にこれらが無効と判断される可能性を低くするための手続になります。
上で述べたように人事権のない上司や先輩・同僚が行う退職勧奨は別のリスクを発生させる可能性がありますので、会社として人事部から正式に退職勧奨をしてもらいましょう。
人事部に動いてもらうためにも、これまでの指導内容とその結果を記録として残しておいたことが役に立ちます。
仕事ができない人が自主的に退職しない場合、最終手段は解雇となります。
しかし、解雇が有効とされるハードルは相当に高いです。とくに能力不足を理由とする解雇が認められるためには、会社としてもやれることはやり切っていることが大前提です。
これまでの指導内容やその結果の客観的記録、配置転換をしたことが、会社としてやれることはやったという証拠になります。
本人が「仕事ができない」状況を変えようとしていない場合は、辞めさせることを視野に入れたほうが良いでしょう。
【例えばこんな状況】
現状、仕事ができてないことを「問題」として捉えていない
指導したことをやろうとしない
先輩、同僚、後輩に皺寄せがいっていることを申し訳なく思っていない
このように、本人に改善の意思が見られない場合には、いくら指導して、期間を設けても仕事ができるようになる可能性は極めて低いです。
本人に改善の意思が見られない場合こそ、しっかりと解雇等に向けた証拠を作りましょう。
本人には、仕事ができるようになろうというやる気は見えるが、指導しても改善されない場合には、その部署で仕事ができるようになる見込みは低いでしょう。
目安としては、一つの部署・一つの環境で1年近く(あるいはそれ以上)、継続して「仕事ができない」状態が続いているなら、黄色信号です。
違う部署への配置転換を行い、そこでも適性が見えないようであれば、退職を促すステップに移りましょう。
その人のせいで周囲の社員がやる気をなくしていたり、チームが成果を達成できない場合も解雇を視野に入れた対応が必要です。
この場合は、「その人のせいでチームの士気に悪影響が出ている」ことを人事権のある上司に報告しましょう。
早めに会社からの改善指導、あるいは配置転換を行ってもらい、解雇等へ向けたステップに移ってもらう必要があります。
単純に仕事ができない(=能力不足)の枠に収まらない問題があるケースもあります。
例えば
上司の指示やフィードバックを明確に無視している
他人に仕事をなすりつけている
業務の成果を誇張して報告している
遅刻や休憩超過などもしている
このように、「素行不良」や「問題行動」と結びついているケースです。
この場合は、読者の方からの指導では改善の見込みは低いため、早々に人事権のある上司に報告し、会社としての対応を求める方が、読者の方の負担が軽減できます。
繰り返しお伝えしたとおり、本来、退職勧奨は人事権のある者から行われるべきものです。
退職するように圧力をかけるような言い方は、逆にパワハラとして、読者様の方が問題視されるリスクがあります。
読者様が悪者のように扱われるきっかけをあたえ、損害賠償などの法的リスクが発生する可能性もありますので控えてください。
注意や指導の場合は、ミスなどの事実を端的に示し、淡々と改善策を伝えることを心掛けてください。
注意・指導の際に、感情的に叱責することや人格を否定することもパワハラになるためNGです。
会社やほかの社員のためにと思って指導した読者の方が逆に会社から悪い評価をされてしまいます。
何度も面談で呼び出したり、多数の社員の前で叱責して恥をかかせたり、追い出し部屋に追いやったりすることもNGです。法的責任を負うことになるのでやめましょう。
仕事ができない人に辞めてもらおうとして取った行動が、読者の皆さんに法的リスクを発生させることもあります。
弁護士に相談すれば、リスクを負いにくい指導方針、退職勧奨や解雇につながる指導方法などをお伝えすることができます。
仕事ができない人に対しては、適切に対応することで改善できる可能性があります。
仕事ができない人のタイプを観察して、タイプにあった指導方法を行ってみてください。
ただし、指導を行うときは、後々、退職勧奨や解雇をする場合に備えて、指導内容やその結果を記録として残すことが重要です。
どうしても改善が見られない場合は、ご自身で抱え込まず、人事権のある上司に相談して、会社としても対処してもらいましょう。
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2026.02.05・最終更新日:2026.02.06
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