2026.02.062026.02.06

自己評価が高く、他人を見下した態度がみられる・アドバイスやフィードバックを素直に受けとらない…このようなお困りをもつ上司の方。
このように”自信だけが先行し、周囲とズレている”社員は「自信過剰型」モンスター社員と呼ばれ、最近問題になっています。
「自信過剰型」モンスター社員に対しては、その特徴を理解した上で、褒めるところは褒める、問題行動は具体的に指摘して注意する、といった対処が求められます。
そこで本記事では、自信過剰型モンスター社員の代表的な特徴と、現場で実践できる4つの対処法を解説していきます。
また、目に余る問題行動があるケースを想定して、解雇に向けた対応や条件なども解説しています。ぜひ参考にしてください。
【この記事でわかること】
「自信過剰型」のモンスター社員の特徴
「自信過剰型」モンスター社員の問題行動を抑える対処法
問題行動が改善されない「自信過剰型」モンスター社員への対応
「自信過剰型」モンスター社員を解雇できる条件
「自信過剰型」のモンスター社員の発生を防ぐ方法
そもそもモンスター社員とは、無責任な言動等で職場の調和を乱す、他の社員の士気を下げるなど、その社員の言動により職場環境や他の社員に重大な悪影響を及ぼす社員のことです。
その中でも特に最近よく問題視されるのが「自信過剰型」のモンスター社員です。
文字どおり、自信過剰がゆえに職場で問題を生じさせる社員です。
まずは、「自信過剰型」モンスター社員の特徴・問題点を解説します。
「自信過剰型」のモンスター社員の具体的な特徴としては、次のような点が挙げられます。
自信過剰型のモンスター社員は、自分の能力に強い自信を持っています。
その裏返しとして、他の同僚を過小評価し、見下す傾向があります。
結果として、上から目線の発言や態度が多くなりコミュニケーションがうまくとれないケースが多くみられます。
具体的には、他の社員を「使えない」「レベルが低い」などと評す発言などにあらわれます。
そのほか、会議で他人の意見を一蹴したり、後輩に対して命令口調になったりと、協調性に欠ける行動が目立ちます。
こうした態度は、周囲のモチベーション低下や不信感を生み、チームのパフォーマンスにも悪影響を及ぼします。
また、本人は「正論を言ってるだけ」と思っていることも多く、反省させにくいのも特徴です。
「他人を見下す」姿勢が上司や先輩に向けられることもあります。
この場合、上司からのフィードバックやアドバイスを素直に受け止めず、無視するといった問題行動に出てきます。
例えば、資料の改善点を指摘されても、「それは好みの問題」と取り合わなかったり、注意やアドバイスをすると、「だったらあなたもこうした方がいいですよ」と売り言葉に買い言葉の応酬になったり。
結果的に成長のチャンスを逃し、業務改善やスキルアップが遅れがちとなります。
上司としても扱いづらく、“指導コストがかかる存在”になってしまうのも厄介です。
自分に対する評価が高すぎることで、周囲の評価と
自己評価と周りからの自分への評価との間にズレが生じることも往々にしてあります。
結果として本人は周りからの自分への評価に不満を持ち、さらに協調性がなくなることに繋がります。
昇進を期待していたのに見送られた、プロジェクトでの貢献が表立って評価されなかったなど、それが客観的にみて正当な評価だったとしても、本人は大きな失望を感じるでしょう。
自分が「当然もらえる」と思っていた評価を得られないと、途端に不満を態度に出すことがあります。
わかりやすいケースであれば、拗ねてふてくされたり、急にやる気をなくして業務に手を抜いたりといった問題行動にあらわれるでしょう。
その結果、チーム内の空気が悪くなり、他のメンバーの士気にも影響を与えてしまいます。評価を冷静に受け止める力=メタ認知力が低いのも、このタイプの課題です。
「自分が失敗するはずはない」というマインドが根底にあるため、他者や環境に責任転嫁し、自分の非を認めない傾向もみられます。
例えば、プレゼンがうまくいかなかった時に「資料が不完全だったのは◯◯のせい」「時間が足りなかったから」と、周囲への批判を先に口にしたりなど。
こうした姿勢は、「責任感の欠如」という見方もできます。
自分自身の仕事に責任を持って取り組むことは、一人前の社員として必須の資質かと思いますので、この点も早い段階で改善させたいところです。
自信過剰型社員は自尊心や評判を守るため、仕事の成果を誇張したり手柄を横取りする場合があります。
また、実際には他人と協力してやった業務を「自分ひとりでやった」とアピールする行動などもみられます。
このような言動が目立つと、周りの社員が「この人とは一緒に働けない」と感じ、チームの士気が下がります。
また上司としても、誇張された成果を間に受けることで間違った人事評価や意思決定をしてしまうリスクもあります。
1章でみた特徴を持つ「自信過剰型」モンスター社員に対して、どのような対応を取ればいいでしょうか。
「自信過剰型」モンスター社員とできる限り良い関係を築くためのポイントを解説していきます。
まず重要なのは、「自信過剰型」モンスター社員の特性にマッチした接し方をして、周囲との調和をはかることです。すべてを否定するのではなく、良いところは認めたうえで、悪い点を注意・指摘し、問題行動を抑制するための方向を提示して改善させてください。
自信過剰型の人間は、一見すると自尊心が高いように思われますが、実は自尊心が低いことが多いです。
内心では自分自身の価値を低く感じているからこそ、自分が有能であることをアピールすることで、外部からの評価を高めようとしています。
そのため、良い点を素直に褒め、評価することで、「自信過剰」が表に出てこなくなる可能性があります。
「自信過剰型」モンスター社員の特徴にあったように、本人の期待する評価が得られないことで、会社や上司に不満を感じているケースがあります。
不満を持っているからこそ、さらにフィードバックや助言を受け入れなくなる、同僚との差をアピールするためにさらに他者を見下す態度をとるなど、問題行動を加速させる場合があります。
そこで、「自信過剰型」のモンスター社員とはこまめにコミュニケーションをとりながら本人と認識の擦り合わせなどを行うことが効果的です。
場合によっては「面談」というあらたまった場を設けても良いでしょう。
もちろん面談の際に、本人から出された不満について、すべて受け入れる必要はありません。
「自信過剰型」モンスター社員の自己評価と会社の本人に対する評価とにずれがある場合は、なぜ会社はそのような評価をしているのかをきちんと説明する必要があります。
その上で、本人がどのような行動をとれば会社として評価できるのか指針を提示することで、問題行動を抑制することができます。
本人の自己評価と比べて会社がなぜ低い評価をしているかを説明する際は、問題行動を具体的に指摘すること、そして、その行動を改めるよう注意することが大切です。
例えば、他の社員を「使えない」「レベルが低い」と見下した発言があった場合は、その発言自体を注意します。
逆に、具体的な言動を挙げずに「あなたは自信過剰なところがある」、「態度が傲慢だ」といった言い方では、問題行動を抑制・改善することはできません。逆に本人の自尊心を傷つけて余計に関係を悪化させることになります。
どのような行動をどのように直してほしいのか、具体的に伝えましょう。
「問題行動を抑える対処法」で解説したようなモンスター社員への接し方を実践しても、問題行動が改善されない、改善される見込みがない場合もあるでしょう。
その場合は、やむなく、解雇を視野に入れて対応しましょう。
ただし、目に余る問題行動があるにしても、いきなり解雇することはできません。
そこでこの項目では、法的に正当性のある順序で懲戒処分〜解雇に向けた手続きの流れを解説します。
まず最初に行うことは、モンスター社員の問題行動やミスを記録しましょう。
社員を解雇するためには、解雇する「正当な理由」が必要です。
特定の社員がどのような問題行動を起こしたのか、ミスを犯したのかを客観的に示すことができるように、できるだけ詳細に記録を残してください。
最低限、問題行動やミスを「指摘した事実」が記載されたメールなどを残しておきましょう。なお、指摘のタイミングは、発覚してすぐがベストです。
問題行動・ミスの改善を求めるためにもその原因を把握する必要があります。
モンスター社員に直接聞き取りを行い、聞き取った内容を録音や書面に記載するという形で残すことが有効です。
またモンスター社員だけではなく、周囲の社員からも聞き取りを行うのも大切です。
周囲の社員からの聞き取り内容が、モンスター社員がどのような問題行動やミスを起こしたのかを間接的に示せる客観的な資料になるからです。
もちろん、これらの聞き取り内容も録音、書面に記載するという形で残しましょう。
モンスター社員の問題行動が把握できたら、モンスター社員に直接指導を行いましょう。
しっかりと面談の機会を設け、問題行動を具体的に指摘し、その原因を認識させます。
指導せずに放置しておくと「自信過剰型」のモンスター社員は、自分のどの発言・行動が周囲に悪影響を及ぼしているのか自覚しないままとなり、周囲の社員の士気も下がってしまいます。モンスター社員か否か、成績の良い社員であるか否かにかかわらず、問題行動・ミスが発覚した場合は必ず指摘し、指導しましょう。
指導する際は、決して感情的になってはいけません。どのような行為が問題だったのかの事実を端的に伝え、すべき対応や改善策をあわせて伝えましょう。
感情的な発言はパワハラと捉えてモンスター社員を攻撃的にさせかねませんので、伝え方には十分注意してください。
また、一方的に指摘をするだけではなく、ミスに対するモンスター社員の言い分も聴取しておくことが最終的に解雇という手段を用いるためには重要になります。
問題行動・ミスを指摘・指導して終わりではありません。
その後、同じような問題行動・ミスが繰り返されていないか、チェックをしてください。
少なくとも、問題行動を起こした社員についてはその後2〜3か月の間、直接面談を行い、改善されているか確認しましょう。
他の社員に対しヒアリングして、同じような問題行動・ミスが繰り返されていないか確認することも有用です。
解雇は生活の経済的基盤を失わせるという点で社員に対して極めて重大な影響を及ぼします。そのため、解雇はあくまでも「最終手段」でないといけません。
そこで、解雇や懲戒処分をする前には、「改善の機会を与える」手段として、配置転換などを提案することが必要です。
問題社員が現在所属する部署に適性がない可能性もありますので、他の部署に所属変更をするといった改善策を講じましょう。
たとえば、自信過剰型に対しては以下のような観点で配置転換を検討してはいかがでしょうか。
自信過剰型の社員は自己主張が強い反面、責任感やリーダーシップを発揮する場合もあります。
そのため、ある程度の自律性を持てるポジションに配置し、明確な業務範囲と責任を設定することで、能力を発揮させながら問題行動を抑えられる可能性があります。
上司や同僚との相性が問題の場合は、新しいチームや異なる上司のもとで働く機会を与えることで、改善される可能性があります。
マネジメント能力が高い上司や、成果によってわかりやすく評価されるチームのもとで活動すれば、その社員の「強み」が発揮され、頼もしい人材となるかもしれません。
自信過剰型社員には明確な評価基準を提示し、自分の能力を客観的に理解させることが重要です。例えば、数値目標が設定される営業職やプロジェクト管理職などに配置することで、自分の成果と評価を結びつけやすくなります。
繰り返し注意・指導を行うことで、モンスター社員自身に問題行動やミスを認識させることができます。
その上で、改善を求めたが改善されていないことをしっかりとモンスター社員に告げ、退職を求めてみてください。
モンスター社員が退職に応じれば、解雇することなく辞めてもらうことができます。
問題行動・ミスを指摘し、指導を繰り返しても改善されないときは、いよいよ解雇を含む懲戒処分を検討します。
懲戒処分には「戒告」、「減給」、「出勤停止」、「降格」、「解雇」などがあります。
「戒告」などの処分を経ずに、直ちに解雇という重大な処分をすると、解雇が無効であると争われるなど、別の法的問題が生じる可能性があります。問題行動・ミスの内容によって適切な懲戒処分を選択してください。
また、解雇を選択する場合であっても、社員に自主的な退職を促す退職勧奨を先に行いましょう。
それでもなお、退職勧奨に応じず、かといって問題行動やミスを繰り返す場合には、解雇を検討しましょう。
もっとも、いきなり解雇を選択するのではなく、次に同じような問題行動やミスが発覚した場合は解雇となることを告げる、など段階を踏むことが重要です。
大前提として、”自信過剰というだけ”ではもちろん解雇はできません。
1)解雇が有効とされるためには「解雇の客観的・合理的な理由」と「解雇の相当性」(労働契約法16条)が必要です。
「自信過剰型」のモンスター社員についていうと、フィードバックや助言を何度も行っても、同じようなミスを繰り返す、他者を見下す態度を改めず、周囲とコミュニケーションがとれないため業務に支障を来している、面談を繰り返し行っても、実力に見合わない評価を求めるなど、一向に態度が改善されず、かつ、周囲の社員の業務等に悪影響を及ぼし続けている場合には、「解雇の客観的・合理的な理由」と「解雇の相当性」が認められる可能性があります。
2)解雇までに段階的な手続を踏まないと解雇は無効であると争われる可能性があります。
先に述べたように、問題行動・ミスが発生したときは、必ず問題を起こした社員と面談を行い、問題社員の言い分を聴取し、配置転換を検討するなど解雇に至らずとも済む方法はないか検討します。また、懲戒処分をせざるを得ないと判断した場合でも、「戒告」、「減給」など、解雇に至るまでに段階的に処分をおこないましょう。
3)解雇が無効と判断されると復職を認めなければならず、解雇してから復職までの期間について正規の給与を支払わなければなりません。
履歴書の職歴欄で短期間に離職を繰り返している場合には、仕事の能力やコミュニケーション能力が著しく低い可能性があります。
また、面接での質疑応答において自己中心的な発言や、チームよりも自分の功績ばかり強調する応募者には注意が必要です。
面接時に有効な質問として、以下のものが挙げられます。
過去に何か失敗した時、どう対処したか
チームでの活動で意見がまとまらなかったりした時、どう対処したか
自分の長所/短所はどんなところだと認識しているか、また、他人から言われるか
自分の短所にはどう向き合っているか
「自信過剰型」モンスター社員は、漠然と自分の能力に自信をもっており、自己評価と周りからの評価との間にずれが生じます。
もっとも、客観的な評価基準が設けられていれば、基準に達していないかぎり評価されないことを認識できるため、明確な評価基準を設けることは有用です。
根本的な解決策として、日頃から信頼関係を築けるよう、コミュニケーションを多くとることが非常に大切です。
問題行動が見られた場合は、放置せずにすぐ指導することが重要です。指導は感情的にならず、具体的かつ簡潔に行ってください。
日常的にコミュニケーションをとっていれば、問題行動が大きくなる前に指導して、間違った態度を身につけないように抑止することも可能でしょう。
また、定期的に面談を行い、良いところは評価し、改善されていない点は指摘するのも効果的です。
適切に褒めたり、存在を認めることで、承認欲求を健全に満たし、攻撃的な態度の抑制につながります。
モンスター社員に対処しようとしても、モンスター社員への嫌悪感から適切な対応ができないことがあります。不適切な対応によってモンスター社員を刺激することで、さらに自信過剰な態度が増大したり、周囲を見下す態度が続くことで職場の雰囲気が悪くなったりする可能性があります。
また、正当な手続を踏むことなく解雇すると、解雇の有効性が争われ、損害賠償をしなければならないなど、会社に不利益が生じます。
弁護士に依頼して一緒に解雇までの手続を踏むことで、法的なトラブル・リスクを回避できます。
モンスター社員を解雇するまでの手順を整備することで、新たなモンスター社員が生まれない職場環境を作ることができます。
「自信過剰型」のモンスター社員は、適切に対応することでその態度や行動を改善できる可能性があります。
まずは、面談の機会を設け、評価できる点は評価した上で、問題行動・ミスについては注意して改善を促し、その原因を提示する等により「自信過剰型」のモンスター社員による問題行動を抑制するための対応をしましょう。
明確な評価基準を設ける、能力が発揮できそうな部署に配置転換するなども有用です。
それでも改善が見られない場合には、やむなく解雇を視野に入れて対処しましょう。
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2026.02.05・最終更新日:2026.02.06
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